不動産の売却において、買主の心をつかむ最大のポイントは「第一印象」です。
今回ご紹介するのは、ご自身も不動産流通に関わる各種サービスを展開する会社を営む浅井企画有限会社 代表取締役 浅井芳継様が、ご自宅の売却にあたりホームステージングを実施し、わずか3週間で満額成約を実現された体験談です。
売主のお立場で、「写真と現実が変わらない」という評価がいかに成約に結びつくかを実感された浅井様。本記事では、第一印象が成約に直結する理由、そして不動産会社にとっても提案の武器となるホームステージング活用のヒントについて、詳しくお話を伺いました。
まず、仕上がった室内の写真を初めてご覧になった際の第一印象を教えてください。
浅井様) 一言で言うと「自分の家じゃない」と感じました。自分たちでもできる限り綺麗にしてきたつもりでしたが、プロの方に写真を撮っていただくと、まるで全く別の家のようで、「こんな家に住んでいたのか」と驚きました。
当日、現場スタッフによるホームステージング作業についてはどのようにお感じになりましたか?
浅井様) ホームステージングの実施内容については、事前にパンフレットなどでイメージは持っていましたが、実際にはスタッフの手際が非常に良く、私たちはほとんど何もせず、貴重品を動かしたり、確認事項に答えたりするぐらいでした。スタッフの方々がテキパキと動かれていたのがとても印象的で、驚きました。
ホームステージング後、内覧に来られた方からどのような反応がありましたか?
浅井様) 最も多かったのは「WEBに載っていた写真と、現実が変わらない」という反応でした。通常は広告に掲載されている写真と実際の印象が異なることが多いですが、今回は写真通りで、第一印象が良かったことでお客様の気分も上がったことに、非常に大きな効果を感じました。
ホームステージングの具体的な効果についてはいかがでしたか?
浅井様) ホームステージング後に荷物を整理し、チャレンジ価格で販売を開始したところ、わずか3週間で5〜6件の資料請求がありました。内覧は即日2件、その後も合計4件ほどあり、そのうち1組が満額で購入を希望。その他の内覧者からも高い購入意欲が見られ、最終的には3週間で売却が決定しました。予想を超えるスピード成約で、ホームステージングの効果を強く実感しました。
実は、ホームステージング前は荷物が多く、公開を控えていたのです。しかし「第一印象が重要」と考え、ステージング後に公開したことで、値下げ交渉もなく、強気の価格設定のまま早期売却に至りました。売主として自信を持って販売できたことは、大きなメリットとなりました。
不動産会社としてホームステージングを実施して気づかれたことはありますか?
浅井様) 新築物件でのホームステージング(空室ホームステージング)は以前から知っていましたが、居住中物件での実施は今回が初めてでした。これまで自分のお客様に案内する際にも、その効果を十分に伝えるのが難しいと感じていましたが、実際に体験してみて「売却活動における重要なプロセス」と強く実感しました。段階を踏んで準備することで、より高い価格で売却できる可能性があると確信しました。
ホームステージングを体験して、売主としてどのような気持ちの変化がありましたか?
浅井様) 猫を飼っているため多少の傷はありましたが、内覧前には徹底的に掃除し、見える部分の汚れがないよう努めました。モデルルームのような仕上がりに驚き、内覧者からも「本当に住んでいるのですか」と聞かれるほどでした。維持する努力も自然と生まれ、ホームステージングの費用対効果は非常に高いと感じました。売主自身も不要なものを処分し、綺麗な状態を保つ努力が高値売却の秘訣だと思います。
最後に、これから売却を検討している方や不動産営業の方へのメッセージをお願いします。
浅井様) 急いで売却する必要がない場合は、ぜひ1ヶ月ほど準備期間を設けてホームステージングを取り入れることをおすすめします。家が綺麗になるだけでなく、売主自身も「どうせ売るから」と手を抜かず、買う方の立場で第一印象を大切にする意識が生まれます。大切なのは相場にとらわれず、「たった一人の買い手に届けば良い」という気持ちで準備を整えること。ホームステージングは、そのための強力な手段になると感じています。
また、不動産営業については、売却依頼の獲得に注力するあまり、ホームステージングの重要性を十分に伝えきれていないケースが多いと感じます。売主の心に響く説明や、売却までの準備期間の重要性をもっとアピールすべきです。
ホームステージングは、売却成功のための「強力な武器」であり、不動産業者自身が実際に体験することで、より説得力を持って提案できるようになると思います。
- お話を伺った方
浅井企画有限会社
代表取締役
浅井 芳継様
ご協力をいただきありがとうございました